予てから描いてみたいと思っていたものがある。
「能面」である。
日本古来からの「能」の世界には、何故か魅かれるものがあった。
能面とはいえ、いろいろ面の種類があるようだ。
代表的なものに「般若面」などあるようだが、数ある中で三面に絞って制作してみた。
一つ目は、「翁面」である。いわゆる、おじいちゃんの面である。
何となく、愛嬌のある優しい顔をしているのに心惹かれた。
面の名前は、鈴を鳴らして大地を清め五穀豊穣を祈る、「黒式尉(こくしきじょう)というらしい。
黒地に白い髭の「翁」の雰囲気をうまく表現できたでしょうか。?
二つ目は、「鬼面」である。
面の名前は「しかみ」といって、古くは「獅噛(しかみ)」と書き、獅子が上下の歯で物を噛んだ様子を表しているという。
この面は、顔の筋肉をしかめて怒った相貌であることから、「シカメ面」という言葉は、ここから由来しているという。
男鹿のナマハゲとは違う、「鬼」を表現できたでしょうか。?
三つ目は、「女面」である。
女面でも、若女類、老婆類などいろいろあるようで、当然ながら「若女類」を制作。
面の名前は「孫次郎(まごじろう)」というらしい。
面の制作者が美しい妻への慕情を掘り表し、最初は「ヲモカゲ」と名付けたようだが、後に制作者の名前「孫次郎」になったという。
描くのに苦労した細い髪の毛と相まって、若い女性の色気を表現できたでしょうか。?